/領域概要
本領域は、機械工学分野と数学分野の研究者の有機的な連携に基づいて、最先端の数学を駆使した形状設計に対する新しい学理「形状設計数学」を提唱を目指しています。具体的には、機械工学分野に関する形状設計問題に対して、「ボトムアップ方式」、「トップダウン方式」、「ミドル・アップダウン方式」による形状設計モデリング手法を、数学と力学に立脚した開発が本領域研究の目的です。これにより、数学を基軸とした形状設計モデリングの体系基盤を構築します。
ボトムアップ形状設計モデリング班
数学に基づいた構造最適化における基礎理論の構築とボトムアップ型展開
A01班では、線形近似が可能な設計問題に対して、数理解析的手段を駆使した形状設計モデリング手法を開発する。具体的には、これまでに基盤構築を行ってきたスカラー楕円型方程式に対する漸近展開法やトポロジー導関数を始めとする発展的感度解析法の方法論を出発点として、ベクトル楕円型方程式及び時間発展問題への拡張を行う。さらには、曲がった形状における均質化法と、A02班と連携しながら、機械学習への応用を念頭においた離散ラプラシアンのランダム行列理論の観点を援用した曲がった形状の漸近解析を行う。また、A03班と連携し、幾何学的特徴に対する偏微分方程式と連成する形状設計問題に対する数理基盤構築し、幾何学と解析学を基軸とした一元的に設計評価が可能な設計数理モデル系を構築する。
トップダウン形状設計モデリング班
トップダウン型形状設計モデリングの数理基盤構築と工学設計問題への展開
A02班では、数理解析的手段が困難な非線形現象が支配的な設計問題に対し、情報幾何学を駆使したデータ駆動型の形状設計モデリング手法を開発する。さらには、機械学習に基づく生成モデルと、高設計自由度の最適解探索法の方法論の有機的な統合により、設計解空間上において網羅的な解探索を可能とし、複雑な形状設計問題であっても所望の設計解を間接的に導き出すことを可能とする。また、A03班と連携し、幾何学特徴量を基底とする形状設計問題とのマルチフィジクス形状設計問題として定式化を行い、A01班による数理解析的手段による形状設計問題との有機的連携を可能とする。そして、非線形性が強い流体構造設計問題を対象としたケーススタディを通した形状設計モデリング手法の有効性と妥当性の検証を行うと共に、A03班及びA01班と融合した形状設計モデリングの構築と比較検証を行う。
ミドル・アップダウン形状設計モデリング班
幾何学的特徴を基軸とするミドル・アップダウン形状設計モデリング
A03班では、形状設計解の幾何学的特徴を包括的な評価を可能とする数理モデルを構築すると共に、各形状設計問題及びその生産までをシームレスに繋ぐ包括型形状設計モデリング手法を開発する。具体的には、幾何学と解析学を基軸にして一元的に評価可能な数理モデル系を構築し、A01班及びA02班で構築する各モデルに対して、本質的に有用な設計変数の設定方法を開発する。さらには、生産工程まで考慮した設計モデリングとするために、幾何学的条件に基づいて、各形状設計モデルを数理的に統合する手法を、空間に対する偏微分方程式を用いて定式化を行う。そして、ケーススタディを通した検証では、A02班と連携しつつ、主に設計から生産までのモデリング手法としての有効性の検証を担当する。